また、クラシック音楽、近現代音楽の捻り込み方が面白いし、他では例をみないですね。1曲目「The Barbarian」のバルトーク、3曲目「Knife-Edge」のバッハ「フランス組曲」の入り込みは他のクラシック要素を活用したバンドであっても、このようには行かないと思います。
彼だって心では「どうして、、ひどいよ!!」と叫んでいたに違いない。それはそうです。彼は神経系の病気で手が動かなかったわけですから。このピアノが弾けないというのが自殺の原因と推測されているようですが、鍵盤を扱う端くれとして、やるせない気持ちです。
でも、アルバムに彼の演奏は真実として記録されています。
このファーストアルバムのピアノを聴いてほしい。瑞々しくて颯爽として「テクニックの存在」が他では有り得ない世界を構築出来ることが、こんなにも素晴らしいのだ、と言い切っている。
また、ELPのもうひとつの柱であるグレグレイクのヴォーカルもとても良い仕事をしており、これだけ変態な作風でありながら、不自然なところが全くない。
カールパーマーのドラムはもちろんのことだが、しかしこの三人、Youtubeでリハの模様を見ると口伝てでやっている。譜面と睨めっこではないのだね。
キースのオルガンやピアノの傍らにはアルコールが置いてあることが殆どだ。
若干、聞こし召しておられるみたいだ。
そもそも譜面の苦手の僕なので(皆信じてくれないけれど"ホント"です)これは渡りに船。使用を極力制限して行こうと思うわけです。偉大なアーティストのやることは見習わないと。
この時代(今でもそういう傾向はあるけれど)ギターレスでキーボード中心のプログレで聴き手を押し倒したというところが凄い。そのオリジナリティ、インパクトは並外れている。
クラシック音楽の要素を持って来るバンドというのは意外に多いけれど、こういう独特な世界観、見た事もない天然カラーのような音楽というのは他には見受けられない。
CDでは曲順が違っていたりするけれど、僕が高校時代聴いていたレコードでは1曲目「The Barbarian」でした。2曲目「Take A Pebble」そ して、3曲目「Knife-Edge」これでA面が終わるわけです。今、聴いてみるとB面の他作品もどうして捨て難い。例えば「Lucky Man」、昔は見向きもしなかった。でも実はELPには得難いカントリーみたない風情もあり味わい深い。グレグの声も素晴らしくこの曲に合っている。そりゃそうか、自分の曲だもの(笑)。むしろ後半で出現するキースのシンセが邪魔と言えなくもない(個人的見解であります。)そう言えばピンクフロイドの「狂気」も同じくA面ばかりを聴いていた記憶があります。あの アルバムのA面は例の薄気味悪く笑うガイキチオヤジの登場があるのでハードルが高いのですが(笑)でもCDであれば、そのまま行っちゃうのでしょう。そこは、もしかすると CDの良いところかも知れませんね。
改めて聴いてみると、まだまだ発掘出来ていなかった面白い要素がありそうです。自分がバンド活動を重ねて来た分、理解出来るところがあるのかも知れません。以前よりもずっと楽しめそうな感触があります。でもこれ、出来ればレコードで聴きたいですね。高校時代はもちろん普通にレコードの時代でしたので、あの質感が当り前だと思っていたのですが、こうしてCD化されると音楽内容に影響するまでではないのですが、少し違和感があります。レコードの時代にリリースされたものはレコードなのかな?と思ってしまう昨今です。
天国のキースはグレグが歩いて来るのをみて「何だお前、どうした!?」と驚いていることでしょう。でも、もう二人とも病気からは解放されました。また仲良くリハをしてください。僕も今年、本当に酷い年でした。これだけ自己嫌悪に苛まれた日々もなかったと思います。でも、ようやくライブを行うことになりました。編成は全く違いますが、同じトリオです。ベースもヴォーカルをとれる者も居りませんが、心の中でこのライブをELPに捧げるつもりで頑張りたいと思います。