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ピアニスト・タカの脱線CD評

東京プログレシーンを代表するFLAT122のピアニスト・作曲家のマニアな世界

東京を代表するプログレユニットFLAT1-22のピアニスト・川崎隆男が力筆?するCD評です。


荒井由美/MISSLIM、、を聴きたい気分

国内ポップス

ユーミン、良い曲沢山ありますが、僕は最初の2作、つまり1stアルバムである「ひこうき雲」そして2ndアルバムであるMISSLIMで足りてしまう。
もちろん「14番目の月」や意外に暗くマニアックな「悲しいほどお天気」もいいけれど、結局はこの2枚ということになる。ミスリムに入っている例えば「海を見ていた午後」「たぶんあなたはむかえに来ない」のような、イメージ表現というのか、独特な温度感のある作品は他では聴けない。

また、バックに名を連ねている特に鈴木茂のギターが顕著なように、サウンドが強く彼女の言いたいことを押し出している。この押し出し方の独特な加減は他のアルバムで聴くことは残念ながら出来ない。

ジャケットのユーミンは場末のマダムみたいで気だるい。



高校時代、初めて聴いたとき、他には無い下手さ加減の歌とこのマダムがどうにも結びつかなかった。
思えば、ユーミンは年を重ねるごとに溌剌とした若い方向へ向かった。このデビューから間もない頃の方がむしろ年老いた雰囲気であり、微妙に退廃的なところもあり、おそらくはその思考は女性ならではの繊細さから来る言葉にはし難い「何か」だったかも知れない。
このアルバムは正に珠玉の連なる名盤だが、少女漫画の例えば大島弓子辺りに繋がるようなセンスは、どうやって生まれたのだろうか。
最高傑作は「海を見ていた午後」。奇跡的とも言える名曲だ。音の全てが立体的なヴィジョンを目指し完璧なベクトルを織り成している。この歌詞の内容から絶妙なサウンドと歌(この曲は何故か 下手が目立たない、むしろよい方に作用している)そして演奏の侘び寂び。驚くべき精緻なバランスであの悲しくなる程の浮遊感をもって進んで行く。

歌とサウンドが混然一体になってイメージを構築した最良の例だと思う。
こ のユーミン+ティンパンアレーとも言うべきユニットで織り成した作品は、アレンジの松任谷正隆が全面に出るようになって影を潜め、結局頑迷な音楽ファンには「やっぱり、ひこうき雲・ミスリムじゃないの?」と言われるようになる。個人的な感想だけれど、やはり松任谷の時にボブジェームズ被れのようなサウンドや、器用貧乏が 見えてしまう表層的なアレンジは、ユーミンのオリジナル性をスポイルするものだったと思う。

まあ、しかし夫婦ってのはこうして協力しちゃうんだな。特に両方が音楽やっていたりすると。周りが「あーあ、ちょっと違うんじゃないの?」と思っても、なかなか割って入れない。
ヨーコとジョンレノン、リンダ&マッカートニー、そして僕と嫁(笑)

それにしても「ミスリム」懐かしくも僕の中では現役のアルバム。
思えば、高校時代、黒板の右下に小さく「ベルベットイースターと書いてあったのがキッカケだった。
誰が書いたやら。
それを調べてユーミンというシンガーソングライターに辿り着き、LPを買うに至った。
その流れの姿が、何かとてもユーミンの世界に結びついているようで、何とも言えない気持ちになる。ベルベットイースターを聴くのであれば当然「ひこうき雲」を買うところだろうが天の邪鬼な自分、レコード屋さんでミスリムのジャケットが気に入ってこちらにしたのに違いない。

もしも「ミスリム」「ひこうき雲」を聴いたことがないのでしたら、是非。
歌の下手は気にしないように、全てはオリジナルに内包されており、音楽には影響してないと思います。

聴くと胸が痛くなるような気持ちになる。

そんな音楽は滅多にない。荒井由美さんは僕にとって今でも素敵なお姉さんです。

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