ピアニスト・タカの脱線CD評

FLAT122キーボードとして活躍・ピアニスト・タカ音楽評

天才のごった煮/Beatles「ホワイトアルバム」

良き作品ほどレコードで聴きたくなる。

ビートルズファンなら誰でも知っているアルバムです。
僕にも高校生の息子がおりますので感じるところですが、昨今の中高生は(僕の時代と比較すると)あまり洋楽を聴かないです。
「最近面白い音楽ないんだよね!」と嘆く君にはコイツがオススメです。
今風に言えば「このアルバム、ヤバ過ぎるわけです!」
何も新しい音楽が新鮮で面白いとは限らないと。自分が知らないだけ。うっかり通り過ぎていただけ。
そういうのに限って凄いことになっているわけです。本作みたいに。

ビートルズ・聴いた回数ベスト3で言えば、、

1.Revolver

2.Beatlrs(ホワイトアルバム)

3.Abbey Road

これはイメージですが、それほど遠くないと思います。
おっと、、、失礼、、このどこかに「Let It Be」が入るか!!
本作の中で人気の作品は例えば「Black bird」がありますが、これと同じようにアコースティックでありながらもう少し捻っている「Mother Nature's Son」があります。これはビートルズではなく、ポールが一人で制作したものです。もう最強の美メロですね。高校時代、本作に入り込んだ起点となった曲です。
そして、イチオシは「Sexy Sadie」です。このハーモニーと捻ったメロは一体どこから来るのでしょうか?
クレジットはポールとジョンになっておりますが、これはジョン主導で作られたようです。まあ確かに言われてみればジョンのセンスでしょう。
ポールと比較するとジョンの作風はどこか頼りな気で、脈絡のないところがある。
つかみ所がないというのか、、でもそこが何とも心に来るわけです。ただ、この作品も歌詞を理解して聴くと、皮肉が強くて印象が変って来るのかもしれません。「導師マハリシ・マヘシ・ヨギに幻滅した!」というところから来ている歌詞なのですが、こういう内容とこれだけの"音造り"との関係性は実に興味深いです。数多ある他バンドと、ビートルズを一線隔てているのが「こういうところ」なのかな?と思うのです。
ビートルズの多くの楽曲に言えることですが、さしてテクニックのあるギターではないのに、作品を底上げするカウンターラインは、意味のない長尺のギターソロでウンザリの(それもスケールが全てペンタトニックという、、笑)ソロを涼し気に一蹴するところがあり、痛快です。
面白音楽を作り上げるためには、テクニックも必要です。しかしそれ以上に必要なのは、明確なビジョンとそれを具現化するアイデアです。
ホワイトアルバムはそれが満載されている。
しかも、アルバムの成立具合が、子供みたいに何も考えずに、ただ自然発生的に次々に音楽を並べただけで、作為性が感じられない。つまりプロデュースされていない!演出の感じられない丸裸な音楽。
あの版画の棟方志功みたいなものだろうか。
一人一人の個の表現が大袈裟な形で突発的に出現するような感じ。バンドのまとまりとか、曲順を緻密に考えて、、、等、通常のバンドが考える要素は全て無視。
目の前を轟音を立てて次から次へと見たこともない乗り物が通り過ぎて行くようだ。
信じられない程デリケートな曲もあるが、しかし、作品同士が火花を散らして戦っているようでもあり、本アルバムを聴いていると呆れてしまうか、空いた口が塞がらなくなる!という状況に陥ります。
そして、本作全体を眺めると何故か「
Revolver」がオーバーラップする。
僕はこの二作には近似性があるように感じ、それがまた気持ちの良いことなのです。
凄いことは確かに凄い。
でも、決して熱血じゃない。温度感・湿度感は北国で過ごす晩夏のようです。
余談になりますが「while my guitar gently weeps」で弾かれるギターソロは、エリック・クラプトンです。高校時代「ジョージも本気出すと凄いよね!」と友人と感心しておりましたが、可愛い勘違いでした。