ピアニスト・タカの脱線CD評

筆者はFLAT1-22・天然キーボード奏者の脱線転覆の珍説が脈絡なく展開!

頭ひとつ?/YESと言えば、、!

YES/こわれもの(Fragile)

頭ひとつ?何それ?

先に「危機」の記事をアップしたわけです。そのイエスの代表作と言えばこの「こわれもの」と合わせた2枚というのがベタなわけですね。

リレイヤー」ってのが同業者では多いです。大昔から。

鍵盤技術者では、パトリック・モラーツを推す人が多いですからね。

しかし、天の邪鬼な僕としては珍しくイエスの場合は、このベタ通りとなります。

楽曲の旋律、リズム、アレンジ、ジャケットのデザイン、メンバーの演奏内容、全体のサウンドイメージ、そういった様々な要素から来るインパクトという何か訳の分からない音の風みたいなもの。

それを鑑みると、この2枚ということになります。

そして頭ひとつ、というのは更にそのどちらか?となると僕は本作をとります。

「あれ?川崎さん、、意外!!」っていう声が聞こえたような気がしますが。。

頭ひとつとは言うけれど、もう髪の毛1本くらいでしょうかね。

髪の毛1本でもひじょうに重要な方もいらっしゃるのです。

ですから、その差というのは精査しないとなりませぬ。

なりませぬ、、と言えば真田丸の大蔵卿です。まあ関係ないか。

コンセプトという事を考えると「危機」ということになります。あれは全体が何かひとつのカタマリのようです。それは本作にはない強さでしょう。

しかし、この本作のあまりに魅力的な"珠玉のフレーズ祭"には叶わないわけです。

リックウェイクマンとビルブラが特に気が利いた音楽をやっており、こっそり崇めております"スティーブハウ"のとっつぁんもまあ相も変わらず孤高のキャラで生からエレキまで大活躍しております。有名なギターフレーズもあちらこちらに散見されます。

燃える朝焼け」のクリス・スクワェア操るリッケンバッカーのベースがまた唸りを上げてカッコいいですよね!!余談ながらこのタイトルを見るとどうしても「燃える胸焼け」と洒落を言いたくなるのと、あの向谷実の独特な(演奏時の)表情が思い出されるカシオアペア朝焼け」をイメージしてしまうわけです。本当に余談です、、すいません。脱線CD評とは言え、今日は特にひどいようです。

 

さて、コホン!!気を取り直しまして、、。

このようにアルバムのどこに重きを置いているのか?というところで音楽ファンのベスト10は変動するわけです。

僕は自分自身が音楽家でもありますので、どうしても同業者として何と言うか「それ分かる!」みたいな共感が欲しいのですね。

それに、ちょっと嫌らしい表現ですが、是非自分を押し倒してほしい(笑)

押し倒されて、また無理やりに抱き起こされて往復ビンタを食らってしまうくらいの(失礼)感動、驚きが欲しい。現代音楽作曲家の巨匠・クセナキスを聴いたときの、、というような表現で行きましょうか。ここはひとつ。

記憶を辿ると、僕がイエスを気に入ったアルバムは正にこの「こわれもの」でした。

「危機」は今でこそ、褒めそやしておりますが、最初はさっぱり入り込むことが出来なかった。つまり、あそこまで徹底してコンセプトを貫き通すあのアルバムに馴染めなかったのですね。ピンクフロイドの「狂気」とも共通するところです。

しかしして、今でも比較となると「危機」よりも「こわれもの」というのは、アルバムを聴いた過去、その時にヒントがあるのだと思います。

その時に、聴いていた音楽はどのようなものであったのか。生活はどのようであったのか。政治、世相も関係ないとは言えないかも知れない。

この2作は続けて聴いたのではないのです。危機の方がずっと昔。アルバムのリリースとは逆です。そんなことも関係しているような気がします。

とにかく、このアルバム1曲たりとも無駄がない。そこが立派です。

全体を見通すと、何かここでメリハリを付けるためにこういうのも入れておこうか、とか、分かり難い作品ばかりなので、ここでシンプルなバラードでも入れるか、もしくはアップテンポのロックっぽいのを入れておくか?というのが見えることが往々にしてあります。僕はそういうのが見える(聴こえる)のは少しガッカリするところがあります。そういう作為性は苦手。

本作ではそれがないですね。ボーナストラックが入っているのがありますが、僕はあれは必要ない。プラスして作品を入れなくても、というか入れない方が「こわれもの」だと思います。ボーナストラックなんか入れちゃったらバランスをこわしちゃう(笑)。

捻くれものの自分なので、愛用のiPodではボーナストラックは削除して聴くことになります。演奏も僅かに粗いと思いますし。でもこういう商品スタンスはイエスのメンバー達がもし知っているとしたら、どのように考えるのでしょうか?

少しばかり興味深いところです。