ピアニスト・タカの脱線CD評

筆者はFLAT1-22・天然キーボード奏者の脱線転覆の珍説が脈絡なく展開!

君は"ウルトラQ"を知っているか?

懐かしいというよりはしっかり現在進行形!

アルバムのタイトルはウルトラQ総音楽集」作曲:宮内國一郎、ということになります。
以前一度このサイトに登場しました会社の同僚モリタさんからまたまたマニアな音楽が届きました。と言ってももう1年近くも放っておいて「聴かなければ!」という焦りの気持ちのまま、暇がなく気力もなく、そのままにしておりました。時が悲しく経過していくという辛い日々を送っておりました。しかし、調度バンドのライブが終わった翌日の日曜日、とうとうCDカートリッジに皿を投入したというわけです。我が社の音楽図書館と言っても良いモリタ氏のセレクトはマニアの中でも特に度数が高く、これまでも私のiPodを散々っぱら荒らしてまいりました(笑)その中では高橋幸宏率いる「ピューパ」の二枚はなかなかのヒット作でしたが。さてこの、やはり来たか!?と言うべきウルトラQ総音楽集という、まあ何ともCD2枚組1枚に100トラック入っていたりする溜息ものです。実は1曲が短いものが殆どで、例を挙げますとペギラ登場のジングルなど5秒という、まるでジョンケージもビックリの短曲も入っております。勿論、名作は例のテーマですが、通して聴いて行きますと、これが妙に聴きやすいわけです。家人にそれを伝えると「お前がおかしいのだ。ウルトラQ・100曲も聴いて、環境音楽みたいに聴くなど、変っっっ!!」とバカにしたように笑うのみである。

特長というと、そこここにSEとして入るテルミンのような(テルミンなのかしら?)ヒューゥゥゥゥゥンンという気味の悪い音、これが全体を特長付けている気もしますが、ラウンジで聴くような酒臭いBGMが入っていたり、3分以上もオカリナだけで演奏されるタイトルもまさに「オカリナ」等はもはや笑うしかなく、おそらくこれを聴く私の表情は気持ち悪く緩みっぱなしだったと想像される。あちらこちらに聴かれる新鮮なサウンド。ダサイが魅力的なエレキのフレーズと音、そしてスプリングリバーブが嬉しかったのかピッキングベースにかけまくる"ぴょんぴょんサウンド"は、実に魅力的。まるで昨今のDAWを嘲笑うかのような万華鏡具合で、これだけの大作ですが、すんなりと腹に収まります。
基本的にはビッグバンドジャズですが、そこはそれ怪獣番組に合わせるために、あれこれとSEを混ぜ込むというところが楽しい。普遍的なポップナンバーであっても木琴(マリンバ?)を多用し、少し捻りの利いた愛らしさを演出しております。ウルトラセブンの辺りまでのウルトラシリーズに共通する管楽器が活躍するのは、やはり個人的には好感を持つところです。変に電子音楽を使わず(というかそういう楽器が一般的ではなかったからだが)人力で吹き鳴らす楽器は、人間パワーが感じられて、そこが怪獣達のイメージとしっかり接続しているのだ。怪獣作品もCGに頼るようになってからは、リアリティを失った。ウルトラQペギラガラモンは今、視ても「ひょっとしたら、こういうのがどこかに潜んでいるかも、、」と感じさせるスケール感、立体感が在る。音楽も似たようなところがあるか。制作をするためのツールは進化した。しかしして、本作のような作品力はそうしたツールがない時代に産み落とされたものだ。不便であることがオリジナルを育てたのだ。あれれ、、何時の間にか熱くなって過激な口調?になってしまいました。