ピアニスト・タカの脱線CD評

筆者はFLAT1-22・天然キーボード奏者の脱線転覆の珍説が脈絡なく展開!

FLAT1-22「In Spirit」を自己評価する!

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自己評価ってのは案外難しい?

結局1年と少しばかりの時間をかけて完成にたどり着いた珍作ってわけです。扱うCD店での評価も徐々に上がってきております。本作の分かりやすい特長としてはハッキリと歌モノを入れていることでしょうか。ヴォイスとか即興とか、そういうのではなく普通に歌モノ。
ポールマッカートニー&リンダじゃないけれど、嫁に歌わせました。小日向あかね、とクレジットがあるのがそれで、この名字と平仮名のバランス、イメージが素晴らしいお名前。昔、浅川マキさんに、このまま芸名で使える素晴らしいお名前ね、、と言われたほどのモノです。私のどこにでもある名前とは比較にならないわけですが、彼女の歌も捨てたものではない。まあ、聴いてあげてください。好みは分かれるとは思いますが。

worlddisque.blog42.fc2.com以前本サイトでFLAT122、1st「THE WAVES」を自己評価しましたが、それ以来の自作レポートです。楽曲は4点を中心にしております。Spiral、Matsukura Snow、Tunnel Vision、In Spirit。こちらに小曲2点+歌モノ1点で支える形。
また2020年2月2日・シルバーエレファントライブ収録から、Tunnel VisionとIn Spirit(ライブ版)のデータ使用があります。全体イメージに大きな影響を与えているのが、1曲目に配置された「Matsukura Snow」の冒頭であることは確かです。この冒頭はイメージ表現として上手くいっている方ですが、しかし本編のテンポが早過ぎたきらいがあり、そこはどうなのだろう?と今も疑問点のひとつです。
FLAT122アルバムの伝統とも言えるSE(サウンドエファクツ=効果音)の多用は今回も踏襲されており、ザクザクと雪を踏むSEの上に冷たい風の音が重なる世界は、自分が暗い雪模様の中を彷徨う姿。演奏は、Tunnel Vision はこのバンドの先を占う作品ですが、おそらくまだ完成されていない途中の状態を切った音がここにあります。小曲4点+後奏から成立させるところは曲げられないルールとなりますが、例えば「Spiral」などと比較すると完成の形がまだまだ見えていない状態。それでもライブから切ったり貼ったり編集は天然カラーの世界で(聴き手によっては)楽しめるかも知れません。タイトルのIn Spiritはスタジオ版とライブ盤を離したトラックで配置しておりますが、全く内容が異ります。ポイントはどちらもベースになります。ここではベースの太く地を這うようなサウンドと突き抜けたフレーズに耳が行くはずです。Spiralは1stアルバムにも収録がありますが、アレンジがシンセ多用により違った着地点となっておりました。これを本来のアレンジに戻して、このアルバム中では唯一ピアノのみで勝負しました。ピアノで弾き通すのであればこの作品においてない、ということです。バンドの演奏としては若干大人しく、もう少し引き出しの多いカラフルな演奏、突き抜けたところがあればと思いますが、行儀よくクラシック音楽のようなアプローチを好むのであれば、これでも良いのかも知れない。小曲はどれも1、2分で終わる箸休めみたいなもので、気軽に聴いていただければと思いますが、ピアノソロとして入れた「One Image By Maluti Layerd」が個人的には、このアルバム中最も自信があります。若干ミスタッチまでは行かない引っかけがあるのですが、それでも二度とこのようには弾けない一期一会の世界であり、この辺りがイメージ表現と言って許される境界線と思います。自分が理想とする現代的で冷えた気持ち良さのある見通しの良い音楽。敬愛してリゲティから学んだ響きが自分なりに出せていると若干ですが自負しています。
全体としてやはりというか散漫、脈絡のない印象ですが、好き勝手に制作するアルバムは自分のキャラをもろに投影するのですね。苦笑いするしかないです。ジャケットの写真は福田静二さん撮影、本人から使用許可を得て使わせていただきました。1972年釜石駅前のモノクロ写真で、製鉄所の景色がとても雄々しく最初にネットで見て即連絡、快諾を得ました。この写真がカメラに記録された時、当時この町で生きていた僕は時間を共有(シンクロ)していたわけです。時間の不思議を感じるところです。