ピアニスト・タカの脱線CD評

FLAT122キーボードとして活躍・ピアニスト・タカ音楽評

"異端児" テリー・ライリーをご存知?

ミニマルミュージックの第一人者ではあるが、、。

"ではあるが、、。"と書いたのは、テリー・ライリーが他のミニマルミュージック作曲家の中にあって少し離れた所に佇んでいるイメージが(自分だけかも知れませんが)在るからです。活動の幅の広さ、また即興性を重視しているところ、ロックアーティストと距離が近いという、その辺りからの実に個人的な印象と思われます。
テリー・ライリーはアメリカの作曲家、演奏家となります。分野としては先にも述べましたミニマルミュージックということになります。ミニマルミュージックはミニマルと短く使われることもありますので、ここでは短い呼称でまいりたいと思います。ミニマルは小さなフレーズの反復で進行する特長を持ち、一応現代音楽から派生したジャンルと捉えられております。「一応」と枕詞を付けたのはミニマルを現代音楽として認めないという場合も少なからずあるからです。

僕個人は別段、そういうことは気にしないし、ミニマルがクラシックから現代音楽という一連の流れに、反作用として出現した音楽であるからこそ、堂々と現代音と名乗って良いのになぁ、、と思ったりもします。
ミニマルは昔、フィリップ・グラスをFMで流した坂本龍一さんのお陰で知ることが出来ました。今もってフィリップ・グラスの刷り込みは深く、アルバム「グラスワークス」を聴くと安心と納得が入り交じった不思議な気持ちになります。

テリー・ライリーは、このフィリップ・グラスと、知名度においては最も高いかも知れませんがスティーブ・ライヒと並んでミニマルを代表する作曲家ということになっております。おそらくはテリー・ライリーから作品選択するのであれば「IN C」辺りと思われますが、それでは本ブログがベタ過ぎて面白くない方向に行きそうでもあり、ここは天の邪鬼健在?を表明するためにも、このレクイエムを選ばせていただきました。
実は、先頃、某サイトWEB記事のライティングでボツになった駄文がテリー・ライリーの紹介というものでした。NGの理由は「宣伝にも何もなっていない失格文」ということでありました。宣伝というのはマイナス要因や、個人的見解、感想をこれ見よがしに書くと(そのつもりは無くても)"門前払い"ということになります。こうして、せっかく「あーでもない、こーでもない」と苦労した時間を失ってしまうわけです。宣伝文と「評」は全く違う世界です。しかし、その仕切り線はボンヤリして分かり難い面があるということも事実です。ということで、この自分だけの自由な世界「脱線CD評」に、テリー・ライリー評を書き直ししよう!というのが本編の主旨でございます。宣伝にならないから良いのだ〜っ!(バカボンのパパ調で。)と得意の開き直りです。さて、本作はこの異色のミニマル作曲家が、作品の提供で行動を共にして来た「クロノスSQ」のメンバー、その息子さんが急逝したことへのレクイエムとなっております。
音楽内容として、これがミニマルか否か、、それは意味を成さないでしょう。
そこには、とても深い表現、純粋な音があるだけです。
音楽としては、どちらかと言えば分かりやすいものだと思います。また、これが弦楽四重奏の音楽であること対して、素直に驚きを禁じ得ません。
僕にとって弦楽四重奏は、良くも悪くも実にクラシックを体現するものであり、それは敬愛するバルトークであっても例外ではありません。つまり、お恥ずかしい話、この弦楽四重奏という形体は実に敷居が高いというのか、その幅が広く飛び越えるのに億劫であるというのが正直な気持ちなのです。
よく知られたことではありますが、この4つの弦楽器はオーケストラの最も最小単位と考えられるわけで、小説で言うなら、彼のステーィヴン・キングが宣っていたように「短編ほど難しいものはない」と。
この言葉に類似にたところがり、骨組みだけで成立しているような弦楽四重奏は、作曲家の馬脚がうっかりすると出てしまい兼ねない厳しいアプローチであることは確かです。
ところが、本作はそれが全く感じられない。深淵で精神性を感じるのは勿論ですが、あまり深刻ではない。弦楽四重奏にレクイエムとタイトルを付けた、、と言うよりはレクイエムというある意味特殊なクラシック音楽の一形態に弦楽四重奏を持って来たところにテリー・ライリーの才気を感じさせるところですが、何しろこの音を聴いていただきたいと思います。個人の受止め方に大きな差異が出てしまう現代音楽ですが、素直に受止めれば心が揺り動かされるところがあると思います。
僕の弦楽四重奏という頑なイメージを、あっさりと打ち砕いてくれた作品です。
音楽とは関係ありませんが(否!!あるのかな、、、?)この紅葉を使ったジャケットがとても素敵です。聴いた音楽から来るイメージとどこか繋がっている感じと言えば良いのか。現代音楽の誤解を解く名作は実は多く存在しますが、本作品もこの仲間入りでしょう。是非、お試しあれ。オススメします♬