ピアニスト・タカの脱線CD評

FLAT122キーボードとして活躍・ピアニスト・タカ音楽評

ここで筆者よりご挨拶 FLAT122「THE WAVES」

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さて、、人の作品をあれこれと評するのも良いけれど自分も音楽家の端くれですから、たまには自作を叩き台にのせてみたいと思います。
THE WAVESは、ベースレスギタートリオ「FLAT122」の一作目となります。
2005年に仏先行にてリリースされ、その後国内ディスクユニオンHMV通販などでも発売されました。レーベルはPOSEIDONです。今、どうなったのでしょうかね?
さて、このアルバムは2004年にFLAT122の屋台骨であるドラムが田辺君に決まり、その勢いのまま制作されました。制作のタイミングは若干早過ぎた感じがありますが、バンドを短期間で向上させる絶好の手段としてレコーディングが大きな要素であることは確かです。
レコーディングは、中野の某スタジオで6時間を2回行っておりますが、時間を要したのは何と言ってもその後のミックスとなります。
使用した媒体がプロツールスに代表されるDAWではなく、ハードとしてのA-DATでしたので、僕は同じ機器を中古楽器店で購入し(最初に買ったマシンはローラがテープを巻き込んでしまい破損!結局16トラックを同期させるために、改良モデルを2台買う羽目になる。)自宅にミックスの現場を構築して半年ほどの作業となりました。
ミックスにあたり収録を確認すると、このバンドの未完成なところ、技術的に未熟なところが散見され、それを補完するために削除、修正、新しいトラックの挿入と、躊躇なく大屶をドーンと振り落としたわけですが、それをギター・平田君、ドラム・田辺君に断りもなく進めて行ったので後々顰蹙をかい、それは今でも申し訳ないことだったと反省しております。ただ、この迷わず叩き切っていった修正具合というのが、この音楽に開き直ったような妙な力を与えたところがあり、全体の出来具合としては決して悪くないものだったと少しだけ自負しております。それは、国内・世界各国からいただいた好評価にもよく現れておりました。

器材関係は以下の通りとなります。大きく3ブロックに分かれております。
01.楽器達をまとめる「ミキサー」
ミキサーには以下の楽器達が接続されております。
ピアノ:YAMAHA/P-80(10年以上とにかく使い切りました。今も愛着が強いです。)
シンセサイザーKORG/MS2000、Roland/U220
サンプラーYAMAHA/SU200

02.スタジオ収録データの入っている「A-DAT」
録音機として、A-DATを2台。この2台は16TRで扱うため(A-DATは8TRモデルです。)同期させておりましたが、数日使用の結果、オプションのリモコンを導入しこれが劇的に作業効率を上げました。

03.一旦ミックスをまとめるための「VS1650」
これは平田君が貸してくれました。これがないとおそらく作業は頓挫していたと思われます。本作業最大の功労者?と言えますでしょう。何しろA-DATが安定しないので、まとめられた2TRデータは一度ここに保存されました。またこのモデルはミキサーとテレコがドッキングしたものでしたので、こちらでミキシングするケースも多かったように思います。

上記3ブロックをゴチャゴチャと結線しているので、そのカオス状態はもの凄く写真に撮っておくべきでした。操作をする際、いちいち立ったり、歩いたりがないよう、手を延ばせば全てが届くように考えました。少しでも時間を稼ぎたいから、、という気持ちからですが、その真ん中に自分が座っていることからトイレや食事などで抜け出すためには器材を避けないと厳しい(笑)ところがありました。意外なほど前向きで"ハイな気持ち"で作業した記憶があり僕のここまでの音楽人生の中では突出した良き思い出となっております。

THE WAVESの中心となるのは冒頭の「波濤」であり、これはミックスで見舞われたテープがお釈迦になってしまうという大トラブルを超えて完成させたものです。駄目になったところを切って(!)、生き残ったところを挿入トラックによって何とかつなげたという(笑)とんでもない作品となります。よってFLAT122が現在このように演奏するのは大変難しいということになります。音楽マニア達はまずこの「波濤」によってこちらの世界に入り込み、そして奇天烈で明快な「Neo Classic Dance」によって暗から明へと一気に運ばれるように考えております。Neo Classic Danceは彼の難波さんに「譜面を見せて!」と言われた複雑極まりない難曲でこれは26歳作曲のテーマパートを数年かけてコテコテな珍曲に仕立て上げた内容となります。このテーマはハチャトリアン剣の舞のパロディであり、何ともふざけた作品なのですがこういう軽く明るい発想は今こそ必要という気がします。田辺君のドラムが聴き所であり、12拍子の展開部で演奏されるドラムソロはとても音楽的かつ楽しく才能が溢れた素晴らしいものです。今もって自分の作品には田辺君、と思うのはこの辺りから来ていると思われます。作品は僕と平田君のどちらかが書いておりますが、このFLAT122の最もな特長は、その二人の作曲家が常に火花を散らしている、、と言うことです。互いの作品に対するハッキリとした意見、提案、そして実験の繰り返しは、再生と破壊を繰り返して殆どがゴミ箱行きという勿体ない結果を招いており、残った僅かな燃えカスみたいなところで勝負していたようなところがあります。とにかく音楽原理主義といったところで、集客も宣伝もそっちのけ、、中高生バンドのようなものだったのでしょう。この孤独な戦いとも言える「FLAT122・音楽への向い方」は僕の理想なのかな?と思います。今も、復活を望む方がおりますのは嬉しいのですが、平田君はご自分のバンドで忙しくオリジナルメンバーによる再生は難しいように感じております。今後の流れとしては僕と田辺君がFLAT122の音楽を前に進めていく、ということなのでしょう。今年10月13日に行われるシルバーエレファントライブでFLAT122音楽の現在を形にしてみたいと思います。バンドの構成は大きく異なりますが、その根底に本アルバムが横たわっていることを心に刻んでおきたいと思います。