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東京を代表するプログレユニットFLAT1-22のピアニスト・川崎隆男が力筆?するCD評です。


JAKOB BRO / STREAMS 「ドラマーが違うだけで!」

JAKOB BRO / THOMAS MORGAN / JOEY BARON

STREAMS

最近聴くのは、この辺ばかりなんですよね。ECMのこの辺。

先に書いたのは前作となりますが、本作との大きな違いはドラムが変ったことです。

前作がフリゼールっぽく、今回はもう少しナチュラルな感じとなっているというギターアプローチの違いを指摘する方もおりますが(確かにその通りだと思います。)、僕はそれ以上にドラマーの違いが大きいと思います。

前作はヤン・クリステンセンですが、今回はジョーイ・バロンです。

この違いが実に大きい。

ライブ現場で、客受けする要素として最も大きいのはドラマーの力量だと僕は思います。どんなにピアノやギターが気の利いたことをやったとしてもドラマーさんが今ひとつであると、そりゃもう音楽にならない。

ヤン・クリステンセンは70歳です。

年齢によるところから来るのか、ところどころリズムが転んでおります。

しかし、それに何ら影響を受けず、しかも全体としての演奏イメージを、自然に聴かせる演奏をしているのが伺えます。

そして結果としてキャラのある浮遊したイメージを造り上げている。

それが本作より前作がマニアックなサウンドに聴こえる要因になっていると思われます。ドラムがよたっている、それは振幅という範囲を超えて、ちとまずいNG的な(笑)内容です。ハッキリ言って。

しかし、それを「これはわざと作為的にやっているのだ!」ということにしている演奏。そしてまたそれを二度やる気はなかったので、ドラマーはチェンジしたということになったのでは?と思うのです。

ECMも流石にこうした重鎮として存在する演奏家に「ちょっとゴメン、他の人で行くわ!」(笑)とは言えなかったと。

一方、本作のジョーイバロンの演奏を聴くと、そらもう目からウロコな演奏で、パート毎に完璧なフレーズとアイデアを叩き込むわけです。

残る2人のメンバー、もしくはプロデューサーのマンフレート・アイヒャーが「音楽が望んでいるであろうドラマー」を欲したということになります。そりゃそうだ。僕だって間違いなくそうします。

ヤン・クリステンセンの演奏にもとても良い味わいがあるので、そこは実に惜しいところだとは思います。

この作品は、JAKOB BROというギタリストがなかなかのメロディメーカーであることを証明するかのような内容です。

しかし、だからと言ってサウンド的に面白味がないのか?と言えば、そんなこともなく、聴いて行くと、歪み系でありながら素敵な音も聴ける。

それは、バッハ的な対位法を使いつつ魅力的なタイム感覚で演奏される「Full Moon Europa」で顕著です。

何度か繰返して聴くと、このユニットはパッと聴きはサウンド指向で、環境音楽的のようにも聴こえるけれど、その実態は、緻密でしっかりとした構成力のあるバンドであることが理解出来ます。

その分かって来る過程がまた囁かな楽しさが在ります。

調度これを2度目に聴いた時は、帰省した釜石から東京に戻るところでした。釜石駅から急行「はまゆり」が離れ始め、釜石の町並みを左に見ながら、パノラマが回転するように郷里が離れて行くと、あまりにそのサウンドがハマってしまい目頭が熱くなってしまいました。因に曲は「Opal」でした。

でも、こういう音楽は真に美しいのだと思いますし、また奏でている彼らを敬愛せずにはいられません。この音楽が世に出て良かったと心から思います。

ひとつ興味深いのは、前作「Gefion」の名曲「Oktober」、リズムが転んで残念だった「And they All Came Marching Out or The Woods」等もリアレンジしてジョーイバロンで再録してみてはどうか?ということです。

ライブ収録でも良いのですが(Youtubeで聴くことは出来ますが、案の定素晴らしい!)、是非お願いしたいと思います。

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