ピアニスト・タカの脱線CD評

FLAT122キーボードとして活躍・ピアニスト・タカ音楽評

Ben monder / ヤコブ・ブロかと思った、、、!

Ben Monderはアメリカ合衆国のギタリストです。

少し前から気になっていたので購入してみました!ふーむ、、これは長く聴くことになりそうです。
1曲目がギターソロなのですが、驚きました。
音質、音使い、全体を覆う浮遊感がヤコブ・ブロそっくりなのでジャケを確認したくなったくらいです。そのくらいに似たところがある。しかし、全体を聴き終わると「まあ、、似て非なるものかな」という結論に落ち着く。ベースレスという変則的な編成を採用しており、これは3回目聴いて気が付いた。
聴力が駄目になってますね。こういうところが年なんだなぁ。
ふと、、ヤコブ・ブロに似ているがトーマス・モーガンが居ないではないか!となったのである。
その代わり、というわけではないけれどシンセが入っている。
好感が持てるのは、そのシンセが黒子に徹して変に電子的なイメージを出していないところ。MIDIという規格がある。MIDIが出て来てからシンセをはじめとする機材のセッティングは大きく変わった。(MIDIは機材を接続する規格です。簡単に言えば、シンセを2台MIDIケーブルで接続すると片方を弾くと受け手側のシンセも同様に演奏される、ということになります。これはシンセだけには限りません。あらゆる機材にMIDI端子は用意されております。)

しかし、このMIDIの匂いがするものを僕はあまり好まない。電気的というのは大いに興味を持つ、しかし電子的というのはあまり好まない。これは勝手な言葉のイメージだと思うのですが、電気的という方がノイジーであり、どこかに空気の入る余地がありまた立体性を感じるわけです。
如何にも国産メーカのプリセットをそのまま使いましたというような質感、それは耳障りで必要のない音の厚みであることがとても多い。
本作では、それが抑えられてシンセの押し付けがましさがなく、かつ存在の必然性が感じられます。
流石にECMの出す作品はひと味違うところではあるかと。
2曲目となると、本性が出て来る。
このギタリストのサウンドアプローチ、作品力は他にはない確立されたところがあり、聴いて納得させられます。
演奏においては、ドラムのポール・モチアンがやはり素晴らしい。
最近、僕のイチオシであるジョーイ・バロンとよく似ているが(というかジョーイが影響を受けているのか。頭もスキンヘッドだし、、笑)若干、ジョーイの方が猛々しくタイトで切れ込みが鋭い。しかし、本作において御大の演奏はとても自然で流麗であり、時折「ハッ!」とするような素晴らしいリズムセンスが光っている。
シンセが入っている分、音の壁は厚く、密度の濃さを感じるが、さりとて聴き難いわけではなくサウンドの組立に慎重で緻密なギタリストであることを伺わせる。
ギタリストというのは大体が深く論理的に考えるタイプが多いのだけれど、おそらくは同じ集合体であろうと思います。
音楽内容は、正にイメージ表現の世界であり、散歩に同行させるとハマりそうです
ECMの音楽は総じて夕暮れの散歩にハマるわけですけれど。これまた例外なく。
少しだけ言わせてもらえば、もう少し音価を短くとったフレーズを前面に出して欲しかったという気がします。サウンドアプローチに主眼を置き、大きな幅を持たせたかったところは理解出来るのですが、散見される魅力的なラインを聴くと少し惜しいです。
もしかしたら、その出し惜しみの加減もまた計算の内なのかも知れませんね。
もう少しシンプルな(例えば、ギタートリオのような)編成のアルバムも聴いてみたいと思います。