ピアニスト・タカの脱線CD評

FLAT122キーボードとして活躍・ピアニスト・タカ音楽評

コード進行をこれで覚える / カルメンマキ&OZ・1st

国産では荒井由美と並んで未だ現在進行形

このアルバムを聴いた回数を数えておけば良かった。というくらいに聴いた作品となります。ジャケットがどこやらジェネシスしてますが、内容もまたそれに違わずプログレしております。カルメンマキ&OZってのは結局、不世出のヴォーカル「カルメンマキ」と、ギタリスト「春日博文」在ってのバンドなのです。が、そこはそれバンドでありますから他メンバーによって、また首脳陣?のお考えによっても音楽性を大きく変えております。セカンドアルバムにおいてはハードロック寄りなコンセプトとなり、この辺は音楽ファンでも評価が分かれるところではないかと推察しております。個人的には「本作」それから「本作以外」と随分乱暴ですが分けちゃっております。

若干問題発言ですが、僕はこの一作目で十分かな、、と思っております。初めて聴いたのは高校2年生です。我が息子より若い自分が正にこのアルバムと共に在る(笑)。
1曲目の「六月の詩」でガツンと来た記憶があります。日本語のロックでも十分に聴けるどころか、海外のピンクフロイドやイエスの後にコレを聴いても何ら遜色がないと感じます。では、なぜ遜色なし!と感じるのか?を整理してみましょう。整理は苦手ではありますが。

1. カルメンマキの表現力を持って日本語=ダサいロックという概念を超えている。

2. 本作のキーボードに心から敬愛しております深町純先生が名を連ねております。これは実に大き過ぎる要素です。深町純と言えばロックというよりはプログレ、ジャズフュージョン系のアーティストです。実際、その芸幅の広さには呆れます。実に渋い演奏を繰り広げており、それは単純なピアノ四つ打ちでも(つまりはレット・イット‥ビーのような、、笑)味を醸し出しており、このアルバムが「ちょっとアートロックしました、、」みたいなレベルを遥かに超える推進力となっているわけです。その格調高き鍵盤の世界を是非ご堪能ください。中高生キーボーディストの皆さんも聴いてみてください。理想的なキーボード教材、そして音楽教材であることは確かです。

3.リズム隊のアプローチに多様性があり、カラフルで緻密にアレンジされている。鳴瀬善博と言えばチョッパーですが、ここではその前の彼の演奏を聴くことが出来ます。当時、ティム・ボガード等がお好きだったのですかね、、そういう方向です。

4.作品力が半端ではない。作曲家・春日博文、ここで出し切っちゃったか!!みたいな感じがあります。スティーヴンキング・シャイニングを思い浮かべると。あの風貌からは想像出来ない(失礼!)美しい世界を見ている人ではないかと、それも恥ずかしい程に。でないとああいう曲はなかなか書けないと。

以上、整理してみました。しかしこうして整理してみても音楽に対する言葉など知れており、最初から限界点が低いわけです。
曲としては「私は風」が有名かつ本作の中心に置かれるのでしょうけれど、脇を固めております「朝の風景」「イメージソング」はもはや日本ロック史上屈指の名曲と言って良い作品であり、初期のユーミンでさえ霞む素敵な柔らかさを内包しております。中高生、いや、小学生でも大丈夫かも知れない(僕などより精神年齢高そうですからね)。昨今の子供は洋楽をあまり聴かないそうです。であれば、コレを聴いて欲しい。この音楽の裏側に潜む何とも熱く重く、陰影の深い時代性というもの。素直に聴けば誰にとっても座右の名盤となるに違いありません。(素直に聴く、というところが実は難しいのではありますが。)
根暗ではあるが決して後ろ向きではない。そして音楽というものが曰く言葉に出来ないイメージを表現すべき「ある種のツール」であることに気が付くに違いない。僕は、最近でこそ単一テーマ、シンプルな構造を標榜しておりますが、それまではこの"マキOZ"の影響から逃れられず大変なテーマ過多に陥っておりました。そもそもプログレというのはテーマ過多であり、手法が大袈裟で組曲のようなデカイ構築を好むわけです。本作の成立ちもまたそうです。そういうことで言えば少し古いのかも知れません。しかし、音楽の流行はメビウスの輪の様に循環します。あっさりとした音楽、小さな音楽、涼し気なビートの後には、もしかすると温度の高い音が到来するかも知れません。暑い日だからこそ「焼き肉」を食べるのです。と脱線しつつあるところで、筆を置きましょう。

〈マメ知識〉
タイトルとしましたが、このアルバムの別な側面として、初心者キーボーディストにとってコード進行の勉強になります。例えば朝の風景という曲があります。Key=Cで考えますと〈 C→D→F→C 〉と行くわけです。さぁ、、このDとFの意味を考えてみましょうか。下手なコードブックを眺めるより身体にしっかり入って来ます。