バンドキャラ「クラフトワーク」
長き歴史を持つドイツ・テクノミュージックバンド。
その音楽性は驚くほど一環している。
これほど、ぶれないバンドも珍しい。
最も有名なアルバムと言えば間違いなくMan Machineとなる。
最初、聴いたのはレコードだったが、その音楽内容に「まずは驚き」そして「ただ頭が下がる」のみでした。
今風に言えば"ヤバい音楽"ということが間違いなく言える希なバンド。でありながら、キュートで軽快というところが良い。
聴き手を押し倒して「どうだ?」と言わんばかりの音楽も好きだし、自分は若干そちら側に属するタイプなので、何かとても大切なことを教えられている気がする。
クラフトワークは何時でも聴きたいというバンドではない。しかし無性に聴きたくなることがある。
またそのスパンは、アルバムによって随分違う。本作などは安物のラジオから流れて来ると程よく部屋の空間を満たすかも知れない。
満たすというより勝手に浮かんでいるという感じだろうか。
クラフトワークというと、そのシンセサウンドとタイトなリズムにポイントがあるが、しかしヴォーカルがまた素晴らしい。
このヴォーカルを「情けない」「つまらない」「下手」と切り捨てるのであれば、それはあまりに柔らかさのない感性をしていると言うことになる。
音楽内容から、クラフトワークは聴き手がどういったメートル原器、否!音楽原器を持っているか?ということを計る精密機械ということも出来るかも知れない。
クラフトワークにコメントを寄せる人達というのも、またタイプがある。
キャラ別音楽志向というのは僕の兼ねてからの個人的興味であるけれど、例えば「カルメンマキ&OZ」と「クラフトワーク」のコメント欄は笑ってしまうくらいに世界が違う。しかしして共通しているのはどちらも心から音楽が好きだ!という暖かな気持ちだ。僕は聴き手さん達というのが、どうかすると音楽をやっている本人達よりも音楽を愛しているのではないだろうか、と感じることがよくある。それだけ彼らは良き人種です。平和を希求する人も多いことでしょう。
(多くの音楽家は音楽を行うことに慣れ切っており、自分が何故に音楽を始めたのかを、忘れている。)
クラフトワークも数年前、原発反対を名曲「放射能」で演奏し会場全体を包み込みました。これは、自分の中でイメージ化されていたこのバンドとは違う側面を垣間見た気がしたものです。本当はクラフトワークはそうしたこととは少し距離を空けておいたほうが自分としては、しっくりくるのですが、それでも大切なことです。
こうした彼らの活動を心より指示したいと思います。
この「Man Machine」(人間解体)はクラフトワークを聴いたことのない音楽ファンのとっかかりとして最良のものでしょう。
結局、最後に残ったオリジナルメンバーはラルフだけとなりました。
昔、友達の家で現サウンドになる前の彼らの音楽を聴いたことがあります。音楽学校の即興音楽クラスで出会ったラルフとフローリアンが試行錯誤を重ねて、サウンドを確立する前段階のものだったようですが、ノイズと現代音楽をミックスしたようなとても難解なものでした。また、あのタイトなサウンドとは対極的にスペーシーでダークな色合いだったのも印象的です。今、聴いてみればもう少し良いところを発見出来たかも知れません。
彼らは、おそらくはそこから無駄と思われるものを少しづつ削って行ったに違いないです。本当に自分達にとって必然的で、必要なものだけを残して辿り着いたのが例のサウンドということだと推測します。
Amazonのコメントにドイツ人はダサいかと思っていたら意外にセンスが良い(笑)という人がおりました。本当ですね。僕も全く同じように感じます。クラフトワークはどこかから安易に引っ張ってきた、というよりはそもそも持っている個性から滲み出た唯一無二な面白センスがあると思います。YMOは音楽だけでなく、この辺からも影響を受けている、と言う気がします。
クラフトワークは不滅です。大袈裟ではなく、、、!