ピアニスト・タカの脱線CD評

筆者はFLAT1-22・天然キーボード奏者の脱線転覆の珍説が脈絡なく展開!

ブライアンブレイド+FS「Season of Cnages」

ここにバンドの理想があると思う。

長いバンド名なので、タイトルでは略しておりますが、日本語で「ブライアンブレイド+フェローシップ」となります。ブライアンブレイドはジャズ・フュージョン系のドラマーで大変な売れっ子です。先頃お亡くなりになりましたチック・コリアとも演奏活動しており、Youtubeなどで聴くことがが出来ます。
僕はこのバンドより、セッションドラマーとして先に知りましたが、おそらく彼の本質はこのバンドに集約されていると言って良いかと思います。
セッション時のプレイと比較すると若干大人しく、作品に寄り添ったアプローチに終始しておりますが、それでも例の抑揚の大きく音に繊細に反応する聴いてすぐ、それと分かるアプローチは変わらず

"ブレイド節"聴くことが出来ます。というより本作はバンドとしてのひとつの塊、バンドとして何を言いたいのか?ということにメンバーが朴訥に誠実に反応しており、自分の演奏家のスタイルやテクニックはあくまでも作品イメージの下に置かれるという音楽の在り方を強く感じます。
こういうバンドの在り方はプログレで言えば「ピンクフロイド」辺りに通じます。聴いて思うのは音の向かう方向がイメージ、空気感というのか、そういう音楽の技術とは全く異なる次元で勝負しているということです。うちの息子が小学校の頃、隔年で全校音楽会というのがり、僕はそれを楽しみにしておりました。子供達は彼らにとっては少し難儀な課題に取り組み、それを父兄達の前で各学年毎にオーケストラを組み、披露するのですが息子は担当楽器の花形・パーカッションを演奏するのに随分入れ込んでおりました。数人なので、オーディションが生意気にあったりして、、笑
純粋で無垢な子供達から奏でられる音楽に、いつもどこかで涙が止まらなくなり恥ずかしくて、大変な思いをしました。
そして、この本作「ブライアンブレイドとその仲間達」の作り上げる音楽は正に、共通したものを感じさせる。
聴くとすぐに、アメリカの風土というのか「土の匂い」がする。でも、それが変に泥臭いわけでもなく、飄々と進められていく。「インディアンは、草木や石ころにも魂があると信じている」と聞いたことがあるけれど、そういうことをふと思い出させる作用がある。音楽的なイニシアチブは間違いなくピアニストだと思うが、各プレーヤーはその持分の中で表現への構築に貢献する。自分のキャラは、しかし出さないということでもない。特にサックスプレーヤーのラインの取り方は良いと思う。かつてクラシック界のマエストロ・カールベームにオーケストラにとって最も大切なことは何か?と尋ねたところ「合奏すること」と応えた。何と深い言葉だろう!と思う。音楽家の共同作業において自分の我儘や、頑迷なところは確かにあるのだけれど、それをコントロールして作品に向かうことになる。曲によってブライアンブレイドは、少しコンプレッサーを強くかけたシンプルな8ビートを叩いている。彼はそもそもジャズという範疇に収まらない部分のあるアーティストだけれど、このちょっとしたところにも、自由で大らかな発想が垣間見える。彼らのアルバムはどれを聴いても大丈夫。どうしても似通ったところはあるけれど、サウンドを含むアレンジ、アプローチはやはり異なります。一聴して似た感じがするのは、幹のシッカリとした音楽の特長です。ベートーベン、モーツァルト然り、ショスタコーヴィチだってそうです。久しぶりの保証付?オススメです。