ピアニスト・タカの脱線CD評

筆者はFLAT1-22・天然キーボード奏者の脱線転覆の珍説が脈絡なく展開!

The Chick Corea New Trio「過去、現在、未来」

意外に、、なかなか、、!

最近、チック・コリアなのである。
今更感が相当強いけれど、実はピアニストとしてチックコリア をしっかり聴いてこなかったのでは?と思う。

バンドの塊として、そして作品中心としての聴き方だったかも知れない。
チックコリがと言えば、耳コピカセットデッキ1台ぶっ壊しましたからね。何しろそういう大変なお方になります。AIWAカセットデッキ、チックに電車道で持って行かれるの図。

本作は存在としては地味な方だと思う。
タイトルが渡辺真知子さんの某曲タイトルと交差するのが笑える。順番が違うんだな!あちらは「現在・過去・未来」となる。

この作品は私にとって耳に優しく、素直に聴ける佳作ともいうべきものだ。佳作を侮ってはいけませんよ!佳作というのは実はスルメと一緒で噛めば噛むほど、、聴けば聴くほど本領を発揮し飽きが来ないものなのです。傑作が佳作で、佳作が傑作でしょ!って僕は本気で思ったりする(笑)

さて、、本作を聴くきっかけとなったのは、Youtubeで偶然「Finger Print」を聴いたからで、これはリズムの取り方やフレーズが作品中最もプログレ寄りな内容となる。

全体を聴くと、実はこの作品だけが他と少し内容を異にしている気がする。他はこういった変則的なリズム・アプローチは取らない。ごく真っ当なジャズ的であったり、ラテン的であったりという、これまでのチックコリア の音楽を踏襲している。

私にとって特筆すべき点は、リズム隊。

まず、ドラムの音(チューニング、録音の質)に耳が行く。

完全に好みの方向なので、それだけで気持ちよく、ベースのテクニカルなアプローチと合間って会社の帰り道のBGM定番となる。
試聴コメントに「ドライな音で湿っている」とあったが確かにドライで若干ガサついた音だと思う。しかし湿っているか?と言えば、僕はそうは感じないけれど。この少し粗さがあって、尚且つ空間的なサウンドを昔から好む傾向にあるわけだ。音楽の内容に関係なく。

このドラムの音は、実はここ数年気付いたことなのだが、個人的にとても気になるところ。例えば、本作を何度か聴いていると、数年前に狂ったように聴いていたフロネシスに近似している部分があるように感じる。

それは、実はピアノが顕著で、これはフロネシスのイーヴォ・ニアムがチックコリア に似ているのである。

チックが真似したんじゃないわな、、笑 当然のことながら。。

そして、このフロネシスと本作で最も異なるのがドラムの音。

以前から、アントンイーガーの太鼓の音は好みではないので(上手けれど、、)それで最初に聴いた瞬間に、ドラムの音が気に入ったと。

バンドの音楽が似ているので、ドラムの違いが際立ったわけです。

因みに私が最も好きなドラムサウンドは「ビリー・コブハム」です。ちょいとベタですけれど。

本作はチックコリア のアルバムというよりは、漠然と良質なジャズトリオの演奏として聴くと気持ちが良いと思う。

結局、愛聴している理由、それは三人の引き出しの多彩なところ、音楽の幅から来るものであろうことは間違いない。